老健の費用は1か月に10~15万円くらいは最低かかると聞いたことがあるかもしれません。
生活保護を受給されている方は、「15万円も払えないよ!!」って思いますよね。

支援相談員のまるっちょ。(@sw_maruccho)です☆
今回は、生活保護を受給している人が老健に入所した場合に1か月の利用料金がいくらくらいになるかお話したいと思います。
施設によって金額の違う部分もありますが、参考にしていただけると嬉しいです。
それでは、まいりましょう。
生活保護受給者の1か月の利用料は2万5千円程度
生活保護受給者の1か月の老健利用料は2万5千円かかるかどうかです。
これは、多床室(4人部屋)であることが条件です。
施設によっては2人部屋や個室があり、そういった部屋は室料が自費でかかるので値上がりします。
今回はあくまでも4人部屋等の多床室を条件としてお話していきます。
老健の利用料金を知ろう
老健の1か月の利用料金は多床室の場合で10~14万円程度と言われています。
では、多床室の老健費用がなぜ10~14万円かかるのか内訳をご説明します。
まずはじめに、老健で1か月にかかる利用料金には以下のようなものがあります。
- 介護保険サービス費
- 加算
- 食費
- 居住費
- おやつ代
- 日用品
- 洗濯物代金
ここで紹介した8項目の合計が10~14万円になるということです。
それでは、1つ1つの項目について説明していきます。
介護保険サービス費
私が働いている施設の場合で例をあげましょう。
私のいる施設は3級地という地域にある施設なので、1単位あたり10.68円という計算をします。
この1単位あたりいくらかというのは、お住まいの地域によって異なります。
介護保険サービス費は、施設や介護度によって次の表のように定められています
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
多床室 【基本型】 |
771単位 | 819単位 | 880単位 | 931単位 | 984単位 |
多床室 【在宅強化型】 |
818単位 | 892単位 | 954単位 | 1010単位 | 1065単位 |
これが1日にかかる介護保険サービス費の単位数ということになります。
単位数は分かったけれど、それって一体いくらなのかを説明します。
私のいる3級地の場合、1単位は10.68円です。
ですので、基本型の多床室に入所する要介護1の方の場合であれば、771単位×10.68円=8264.28円が1日にかかる計算になります。
1日8264.28円というのは、10割での計算です。
介護保険の自己負担金割合は、現在1~3割となっています。
※ご自分が何割負担か分からない方は、介護保険証とは別に「介護保険負担割合証」というものが全員必ず発行されているので参照してください。
1割の方が多いので、1割の方で計算すると、8264.28円×0.1=826.428円となります。
※2割の方は×0.2、3割の方は×0.3で計算してください。
小数点以下は切り捨てるので、826円が1日にかかる介護保険サービス費ということになります。
介護保険サービス費は826円が31日で25606円かかります。
加算
老健に入所されると、基本となる介護保険サービス費の他に加算と呼ばれる費用がかかります。
老健にはたくさん加算があるので、その種類を載せておきますね。
- 外泊時費用
- ターミナルケア加算
- 特別療養費
- 療養体制維持特別加算
- 在宅復帰・在宅療養支援機能加算
- 初期加算
- 再入所時栄養連携加算
- 入所前後訪問指導加算
- 試行的退所時指導加算
- 退所時情報提供加算
- 退所前連携加算
- 訪問看護指示加算
- 栄養マネジメント加算
- 低栄養リスク改善加算
- 経口移行加算
- 経口維持加算
- 口腔衛生管理体制加算
- 口腔衛生管理加算
- 療養食加算
- 在宅復帰支援機能加算
- かかりつけ医連携薬剤調整加算
- 緊急時施設療養費
- 所定疾患施設療養費
- 認知症専門ケア加算
- 認知症行動・心理症状緊急対応加算
- 認知症情報提供加算
- 地域連携診療計画情報提供加算
- 褥瘡マネジメント加算
- 排せつ支援加算
- サービス提供体制強化加算
- 介護職員処遇改善加算
- 夜勤職員配置加算
- 短期集中リハビリテーション実施加算
- 認知症短期集中リハビリテーション実施加算
- 認知症ケア加算
- 若年性認知症入所者受入加算
ここにずらっとたくさん並べてしまいましたが、細かくみるともう少し加算の種類があります。
この加算と呼ばれるものは、毎日かかるものもあれば、毎月1回だけのもの、利用中1回だけのもの等様々です。
1か月にかかる加算の料金は10000~15000程度です。
ここでは多く見積もって15000円としておきましょう。
食費
続いて食費についてですが、これも施設によって差が出ることでしょう。
私が相談員をしている施設では、朝食600円、昼食700円、夕食600円で1日の合計が1900円です。
1900円が31日ありますと58900円の食費が1か月にかかります。
居住費
居住費も、施設や地域によって差が出るところです。
これまた私の施設では1日600円です。
これも31日で計算すると1か月18600円かかることになります。
おやつ代
施設によってはおやつ代を取っているところがあり、15:00のおやつの時間に提供されるおやつの代金です。
おやつは「特別食」という扱いになっていて、食費には含まれません。
自費で徴収される部分になります。
私の施設は1回120円なので、31日あると3720円かかることになります。
食費やおやつ代は、「食事代」ではなくて「材料費」としてかかっています。
事前に食べないことが分かっていれば食べなかった日は請求しませんという施設もありますが、急に食べなかった場合は請求がくることを知っておいてください。
日用品
日用品も、自宅から全部持ってきて揃えてくださいって施設もあるでしょう。
私の施設では、歯ブラシや入れ歯洗浄剤、バスタオル等をセットにしてご利用いただいています。
1日あたり350円のセットと560円のセットがあります。
9割の方が350円のセットを選ばれています。
私の施設の場合は1日350円が31日で10850円かかります。
洗濯物代金
洗濯物に関しては、自宅でご家族に洗濯していただく場合と、施設が提携している洗濯業者に委託できる場合があると思います。
私の施設では、どちらかを選んでいただくようになります。
ご家族が自宅で洗濯していただく分には費用はかかりませんが、業者に洗濯を委託した場合は平均で1か月に7000~8000円かかります。
多い方で12000円くらいかかっています。
施設にもよりますが、1か月10000円くらいかかると思っていると良いでしょう。
ここまで8項目についてみてきましたが、その合計はいくらでしょうか。
サービス費:25606円
加算:15000円
食費:58900円
居住費:18600円
おやつ代:3720円
日用品:10850円
洗濯物:10000円
全部合わせると、合計で142676円ということになります。
これが15万円かかると言われている理由です。
介護負担限度額認定証を活用しよう
先ほど、介護保険の利用料金は15万円かかるとお話しました。
でも私は、最初の部分で10~15万円と含みを持たせました。
その理由をこれから説明していきます。
介護保険には、介護保険負担限度額認定証というものがあります。
これを取得できれば施設の利用料金が安くなります。
介護保険負担限度額認定証の取得条件
この限度額証は全員の方が取得できるわけではありません。
取得条件には次のようなものがあります。
- 世帯全員が住民税非課税であること
- 配偶者がいない方は預貯金が1000万円以下であること
- 配偶者がいる方は預貯金が2000万円以下であること
この2つもしくは3つに該当すれば負担限度額認定証が受け取れる可能性があります。
各市区町村の介護保険窓口で相談してみてください。
取得すると費用はどう変わるか
申請して該当した場合は、年金の収入金額に応じて次のような段階がつきます。
段階 | 居住費 | 食費 |
第1段階 | 0円 | 300円 |
第2段階 | 370円 | 390円 |
第3段階 | 370円 | 650円 |
※今回は多床室の場合で話していますので、多床室のみの掲載です。
ここに掲載している金額は、1日の金額です。
先ほどの居住費は1日600円で31日で18600円でした。
それが1日370円になりますので、31日で11470円となります。
つまり、1か月で7130円も安く済みます。
今回は、生活保護の方を対象にお話をしています。
生活保護の方は、限度額の段階が第1段階になります。
つまり、居住費は0円です。
かかりません。
食費はどうでしょうか。
先ほど1日1900円で31日だと58900円でした。
第3段階の方で1日650円で31日だと20150円と38750円も安くなります。
第2段階の方で1日390円で31だと12090円ですので46810円も安くなります。
そして、今回お話している生活保護の方は第1段階となるので1日300円で31日だと9300円ですので49600円も安くなるんです。
介護保険限度額認定証で第1段階として控除を受けた後の金額はいくらか
さて、限度額証を駆使した結果、費用はどこまで安くなったのでしょうか。
サービス費:25606円
加算:15000円
食費:58900円 ➡ 9300円
居住費:18600円 ➡ 0円
おやつ代:3720円
日用品:10850円
洗濯物:10000円
先ほどと金額が変更になったところは➡で表現しています。
この合計は、74476円です。
あれ?私が最初に言った20000円にはまだほど遠いですね。
さて、それでは生活保護の方の老健費用20000円に向けて最終段階へ参りましょう。
生活保護の人は介護保険サービス費や加算と食費がかからない
生活保護の人には、以下のような8項目の扶助があります。
- 生活扶助
- 教育扶助
- 住宅扶助
- 医療扶助
- 介護扶助
- 出産扶助
- 生業扶助
- 葬祭扶助
この中にある、介護扶助というものが適用されますので、自己負担部分が保護費の支給対象となります。
つまり、介護保険サービス費や加算の1割負担部分、食費というのが自己負担部分に該当するため、生活保護の方で給付しますからねってことで生活保護の方には請求がいかないということです。
そこで先ほどの料金一覧をもう1度訂正してみましょう。
サービス費:25606円 ➡ 0円
加算:15000円 ➡ 0円
食費:58900円 ➡ 0円
居住費:18600円 ➡ 0円
おやつ代:3720円
日用品:10850円
洗濯物:10000円
変更後の金額は24570円ということになります。
これが最初に私がお伝えした生活保護を受けている方が老健に入所した場合の1か月の利用料金が2万5千円程度といった理由です。
さらに、洗濯物は家族が家でやりますよってことになれば14570円程度ということになります。
ほとんど費用はかかりませんね。
まとめ
ここまでお話してきて、生活保護の方は老健施設の利用料が1か月25000円程度ということが分かっていただけたと思います。
さらに、保護費というものが振り込まれるので、実際に残った24570円のほとんども保護費から払えるくらいです。
生活保護の方が老健に入所した場合は、生活保護法と介護保険法が絡み合ってしまう部分もあり、わかりにくいですよね。
基本的には、入所した施設でしっかりと対応してもらえますが、もし金額がおかしいと思ったときは施設の職員さんや生活保護担当の方に相談してみてくださいね。
この記事が老健入所を検討している人のお役に立てることを願っています。